はじめに
この記事は、
向けに書いています。
リスティング広告に限らず、広告を出したら何はともあれ効果測定が大切ですね。
リスティング広告の効果といえば、
・ROAS(広告投資対効果)
この2つのどちらかを指標にするケースが多いです。
サービスによっては、
CPC(クリック単価)やCPI(インストール)、CPO(オーダー単価)で見る場合など、色々ありますが、共通しているのは広告掲載にかかった費用に対しての効果を見る指標ってことです。
そして今回はもっともオーソドックスな効果指標である「CPA」を中心にお話を進めます。
リスティング広告のCPAが悪い…。
改めてCPAとは「コンバージョン単価」を指します。
コンバージョンとは、
のことですね。
ECサイトなら商品購入、セミナーの紹介サイトなら参加申し込みがコンバージョンです。
ですので、CPAは
になりますね。
計算式で言えば、
になります。
さて、このCPAはなんらかのサービスを運営していて、リスティング広告を運用していれば、必ず目標として設定しているものですが、当然よくある悩みとして、
これですよね。
サービス運営会社の担当者さんなら、
広告代理店の担当者さんなら、
自分のサイトやブログなら、
こうなるわけです。
そうなると、対策を打たなきゃいけませんね!
でも、ちょっと待ってください!
その目標CPA、ホントに適正ですか?
そんなこと言われてもわからないわ。自分で決めたわけじゃないし…。
ですよね!!
そんな人のために、「正しいCPA設定の3ポイント」をお伝えします。
これが正解!というよりも正解を導き出すための考え方・アプローチ方法です!
CPA改善の3ポイント
まずは結論を先に。
②想定CPCとコンバージョン率
③サイト改善とEFO
さぁ、具体的にお話ししていきます。
ビジネスモデルからCPA目標を設定
まず第1に、
そもそも目標にしているCPAはだれが設定したものですか?
これ、実はとても重要です。
あなたが自分のサービス・ブログを運営しているなら、CPAは自分で設定したもののはず。
であれば、正解に近いCPA目標を設定し直すのはあなたですから問題ないですね。実は無茶なCPA目標を設定しているのかもしれませんから、その場合はCPA設定の考え方を見つめ直しましょう。
でも、あなたが自社サービスの担当者で、上司から与えられたCPA目標をもとに運用している場合、もしくはあなたが広告代理店の担当者さんで、お客さんから一方的に指定された目標CPAで運用しなければいけない場合は、そもそもの目標CPAが適正なのかを考えないといけません。
場合によっては、上司、お客さんにCPAの修正を願い出る必要があります。もちろん自分のサービスなら、単純に目標CPAを修正しなければならないわけです。
そうなると、「目標CPAを修正する根拠」が必要ですよね?
では、正解に近い目標CPAの設定って、どんなアプローチがあるんでしょうか?
商材単価から導き出すアプローチ
これは、現実的なCPAに落とし込む前に、あるサービスに対してリスティング広告で集客するという事業継続のための死守ラインを定めるアプローチです。
かなりビジネス側、事業側からのアプローチですね。
たとえばあなたが、
だとします。
セミナー自体は無料なので、広告にいくらかければいいかわかりませんね。
でも、セミナー後にアンケート経由もしくは直接営業担当者が営業をかけて、セミナーに参加したお客さんに対して商談に持ち込んで、受注して初めて売上になるとします。
だとすると、目標CPA算出に必要な情報は何でしょうか?
・商材にかけて良い広告費
・商談からの成約率(過去の実績ベース)
・セミナー参加からの商談率(過去の実績ベース)
以上が最低限必要な情報になります。
商材の単価およびLTV
まずは、お客さんが売りたい商材はいくらなのか、この情報が必要ですよね。
CPAは費用、コストなので、見返りとしての売り上げ額がわからないとどうにもなりませんから。
ここで、もう一つ重要な観点が「LTV」です。
LTVとは、
です。
わかりにくいですね汗
LTVを細かく考えだすと奥が深いので、ここでは短期的なLTVとでも呼びます。
ようは、その商材を売った時に想定される1顧客あたりの売り上げ総額のこととでも思えばいいです。
だって、いろんな商材がありますから、初期費用1回こっきりの場合と、ランニング費用がいただける場合とか、サブスクリプションサービスなら継続率や月額プランの種類や金額が肝ですよね。
つまり、
ってことです。
話を戻しますが、セミナー集客の例でいうと、
月額保守料金: 5万円
平均継続率: 1年間
とします。
そうすると、1顧客あたりの想定売り上げは、
となります。
さあ、どんどんいきますよ!
商材にかけていい広告費
さて、次は非常にビジネス的な話になります。
1顧客あたりの売り上げが80万円と出たのであれば、80万円に対して、原価やサービスを提供するための人件費や開発費などをこの時点で引いてあげて、広告としてかけていいコストを割り出しておくことが重要です。
厳密なコストが出せないことが多いと思うので、その会社のビジネスモデル上、粗利率や開発コストや人件費の高さなどから、広告を除いた販管費等のパーセンテージは出せるはずです。
ここでは、ほぼ自社開発のパッケージ商品なので、開発パートナーに5%の原価がかかり、20%の開発コスト、人件費がかかるとしましょう。
すると、広告費を除く75%の60万円が残った金額です。
なんて素晴らしいビジネスモデルでしょう笑
そして、この会社は営業利益(売上-原価-販管費)率で30%を死守したいとします。
であれば、死守したい営業利益額は、
ですから、使っていい広告費は、
になりました。
ちなみにセミナー開催のために借りた設備費用もここに含めておきましょう。
結果、
を広告に使っていいことになります。
商談からの成約率
今回の例としての商材は、営業フローが絡むので、成約率も重要な指標です。
これ。想定よりもできるかぎりは、過去の実績ベースで当ててあげることがいいですね。
過去のセミナー経由の商談からの成約率が出せるとベストです。まぁ、セミナーの内容が同じとは限らないので、想定要素は常に付きまといますけどね。
ここではたとえば、セミナー経由の商談からの成約率を
で設定します。
つまり、10商談あれば2成約ってことですね。
実績がない場合は想定でいいですが、お客さんと綿密に話した上で現実的な成約率に落とし込みましょうね。
セミナー参加からの商談率
さて、最後はセミナー参加からの商談率です。
実はこの商材単価から目標CPAを導き出すアプローチは、最終ゴールである商材の受注からセミナーに向けて時系列を戻っていきながら考えることがコツです。
さて、例でいうとセミナー参加してくれた顧客に対して、過去の実績ベースでは、100人参加してくれたら10人が商談になるとします。
セミナー参加からの商談率は
になりますね。
さて、ここまでで商材単価から使っていい広告費(30万円)、成約率(20%)、商談率(10%)が揃いましたね。
あとは計算するだけです!
目標CPAの計算
あとはカンタンですね。
出ました!
商材単価とビジネスモデルから割り出した目標CPAは6,000円になります。
これは文句言われようがないでしょう笑
だって、絶対営業利益が出ますからね。
でも、そんなに物事は単純じゃないですよね。
あくまでも商材単価とビジネスモデルから割り出しているので、デジタルマーケティングに携わる人たちが気にする側面である、
の観点が抜けているからです。
あくまでもサービスを作った側の発想(シーズ発想)なんですね。
さて、ここからのアプローチが、担当者さんや自分でサービスを運営する人たちの腕の見せ所なんです。
ユーザー動向やキーワードボリューム、想定CPCなどから考えたエンドユーザー目線の発想(ニーズ発想)を組み合わせることが大切なんです。
想定CPCとコンバージョン率
ビジネス側から出てきた目標CPAが6,000円だとして、世の中のトレンドやユーザー動向を無視して、その目標CPAが適正とは言い切れませんよね。
なによりも、あなたはリスティング広告を運用しているわけですから、その商材のセミナーに参加したい企業がどんなキーワードで検索してきて、そのキーワードでリスティング広告を掲載するのに費用がいくらかかるのか、この観点を抜きにして運用できないですから。
そこで、目標CPA6,000は一旦置いておいて、Googleの「キーワードプランナー」などで、集客目標数(総セミナー申込数)を集めるために使いたいキーワードの想定単価と集客サイトの想定コンバージョン率から、運用側の現実ラインの想定CPAを算出する作業が大切なんです。
ここで重要な用語としては2つですね。
・コンバージョン率
リスティング広告はクリックされてお金がかかるクリック課金型の広告ですから、キーワードごとのクリックあたりにかかる単価であるCPCを割り出す必要がありますね。
また、広告をクリックしたユーザーはセミナー集客のサイトにアクセスして、セミナー内容を確認して申し込みたいってなって始めてセミナー参加申し込みをします。
であれば、クリックしてサイトにアクセスしたユーザーが申し込んでくれる想定確率を設定する必要があります。
いつも同じようなセミナー専用のランディングページを使っていれば話は早いですね。過去の実績ベースで出せますから。
そうでなくても、セミナー申し込みに限らず、BtoBの商材問い合わせやセミナー申し込みサイトの目標コンバージョン率は1%で設定することが多いですから、その辺で決めちゃうのも手ですね。
でも1%だと少しさみしいので、ここでは2.5%とします。過去の実績ベースでね。
そして、想定CPCは、キーワードプランナーや過去の実績から、全体で200円にしましょう。
あとは、計算するだけです。
になりました。
あれあれ!?
やっぱり商材単価とビジネスモデルから割り出した目標CPAと差が生じましたね。
ユーザー視点: 8,000円
その差、2,000円!
もちろん、これがユーザー動向だってお客さんに言い切れれば、8,000円に設定するのも良いですが、それだとお客さんが損しちゃいますし、このギャップを埋めるのもデジタルマーケティングに携わる人の重要な仕事です。
ちなみに、CPCをもっと安くできないかって観点は今回は省きますね。その場合は、キーワードの見直しになるでしょう。
また、広告文をもっと最適化することも本当は重要です。
ただ、今回は正解に近い目標CPAを設定するアプローチの話なのでお許しを…。
さて、ここで最後のアプローチが出てくるんです。
サイト改善とEFO
最後のアプローチはサイト側の話です。
2,000円の目標CPAの差を埋めるために、CPCでの調整が難しいなら、あとはユーザーが実際に申し込みをするサイト側に手を入れる必要がありますね。
サイト側の説明内容や構成を見直して、ユーザーにもっとセミナーに対する魅力を伝えて、申し込みしてもらう確率、コンバージョン率を上げられるようにするんですね。
Googleアナリティクスやヒートマップツールなどのマーケティングツールを使って、サイト分析して改善していくと良いですね。
そして、もっと言うとユーザーが申し込みを行う最後の関門、エントリーフォームを見直すってのも超重要な施策です。
・入力しやすいか
・スマホに最適化されているか
などの観点でフォームを最適化することを「EFO(エントリーフォーム・オーガナイゼーション)」と言います。
これはダイレクトにコンバージョン率の改善につながる可能性が高いです。
たとえば、サイト改善とEFOを実施してコンバージョン率が1%上がったとします。
すると、想定コンバージョン率が3.5%になります。
想定CPC200円から目標CPAを算出すると、
となります。
やった!
商材単価とビジネスモデルから割り出した目標CPA6,000円をクリアしましたね!!
これでようやくみんなハッピーな目標CPAが設定できましたね。
ほんとは有料のツール代やサイト改修コストも入れないとダメですけどね…汗
おわりに
正しいCPA設定の3つのポイントでした。
目標CPAに届かない事をなげく前に、そのCPA目標が正しいものかどうかを検討しましょう。
今回紹介した考え方・アプローチ方法は、正解に近い目標CPAを導き出すための手法ですが、とはいえ、すでに結果として出ている実績CPAを改善するためのアプローチ、施策の考案方法にも直結する大切な考え方です。
悩んだらまた読んでいただければ、何かしらの施策を思いつく気づきになるのではと思います。
ちなみに、CPC改善やサイト改善(コンバージョン率改善)の具体的内容はまた別の記事で。
この記事が少しでもみなさんのお役に立てればうれしいです。