早速ですが、皆さんは「コスパの良い年収」をご存知でしょうか。
「え?年収にコスパとかあるの?」「年収にコスパとか考えたことないんだけど」このように思われた方は要注意です。なぜなら、お給料についてしっかりとした知識がなければ、ただいたずらに搾取されてしまうだけだからです。
そこで今回は「コスパの良い年収」と題して、手取りについて、所得税について解説していきます。
【手取り年収】 額面と手取りの違い
まずは、額面と手取りの違いを解説しておきます。この違いが分からないと、コスパが良い年収の実態は見えてきません。しっかり押さえておきましょう。
額面とは
額面とは、「会社から支払われる金額の合計」のことを指します。
基本的には基本給がベースとなり、通勤手当(交通費)、時間外手当(残業代)などの手当が追加される形での構成となっており、給与明細では「総支給金額」の欄に記載されてものが「額面」に当たります。要は、支給されるもの全ての金額です。
手取りとは
一方で手取りとは、「実際に受け取れる金額」のことを指します。
いわゆる会社員として勤務している人は、額面の金額を全てを受け取ることはできません。所得税や住民税、社会保険料などをあらかじめ天引きした上で支払われる仕組みになっているからです。この額面から天引きされることを「控除」と言い、「額面=総支給金額」から、「控除の合計額」を差し引いた金額が「手取り」となります。
給与明細では「差引支給額」の欄に記載されています。年収で計算するなら、さらに「ボーナス(賞与)」も加算されますが、「ボーナス(賞与)」にも税金はかかってくるので、実際の手取りは差し引いたものになります。
大卒 平均年収について
日本では、多くの場合が大学を卒業後、就職して会社員となります。いわゆる「大卒」です。では、大卒の年収はどの程度なのでしょうか。2020年(令和2年)時点だと下記のようになっています。
- 【年収】男性大卒者(大学院を除く):約470万円
- 【年収】女性大卒者(大学院を除く):約345万円
- 【月収】男性大卒者(大学院を除く):約39万円
- 【月収】女性大卒者(大学院を除く):約28.7万円
上記に残業代・賞与などを加算した場合は、下記となります。
- 【年収】男性大卒者(大学院を除く):約542万円
- 【年収】女性大卒者(大学院を除く):約417万円
また、これらは額面での金額です。手取りとなると、一般的には額面の8割程度となりますので男性だと約437万円、女性だと約334万円が大卒者の平均手取り年収となります。
所得税率 年収との関連は?
続いて、コスパの良い年収を知る上で欠かせない「所得税」についての解説に移ります。
所得税とは
所得税は、国税庁のHPによると「所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します」と記されています。
この「所得」と言うのは、一般的な会社員だと「所得=給与」と考えて基本的に相違ありません。実は、所得には、「利子所得」「配当所得」「事業所得」など合計10もの種類があります。その一つに「給与所得」があり、これが会社員の給与に当たります。
さらに細かい話をすると、給与所得丸々に税率がかかっている訳ではありません。記載した通り「所得控除」を差し引いた金額に、所得税率をかけて算出します。「所得控除」には「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」など合計で15種類もあります。
例えば、額面の年収が300万円・合計控除額100万・所得税率10%とすると「(300-100)×10%=20万」となり、この20万円が所得税と言うことになります。
年収別の所得税率
所得税率は、年収が増えるにつれて税率も上がっていきます。その早見表が以下になります。
- 1,000円 から 1,949,000円まで:5%(控除額0円)
- 1,950,000円 から 3,299,000円まで:10%(控除額97,500円)
- 3,300,000円 から 6,949,000円まで:20%(控除額427,500円)
- 6,950,000円 から 8,999,000円まで:23%(控除額636,000円)
- 9,000,000円 から 17,999,000円まで:33%(控除額1,536,000円)
- 18,000,000円 から 39,999,000円まで:40%(控除額2,796,000円)
- 40,000,000円 以上:45%(控除額4,796,000円)
こういった、年収が増加すると税率も上昇することを「累進課税制度」と言います。今の日本では、この制度が採用されています。
コスパの良い年収は「600万円」
「手取りと額面」、「所得税」についてそれぞれ理解できたところで、ようやくコスパの良い年収が披露できます。
なぜコスパがいいのかと言うと、先述した早見表からもわかる通り、年収によって税率が変わります。要は、働けば働くほど引かれる税金も膨らんでいきます。さらに、一定の年収に達すると受けられない控除が出てくるなどのデメリットもあったりするので要注意です。
以上を踏まえた上で、税率が適度で、各種控除、優遇制度が使えるコスパの良い年収は約600万円です。ただし、もちろん稼ぐチャンスがあるのに600万円で抑える必要はありません。皆さんの仕事に対する考え方で変わってくるところでしょう。
最後に
最近では、様々な節税方法が紹介されていたりしますが会社員の節税は微々たるものです。しかし、しっかりと自分の給料がどのように構成されているかは知っておいて損はないでしょう。