近年は副業解禁やリモートワークの広がりもあり、起業は一部の特別な人だけのものではなくなってきました。とはいえ、いざ自分も起業しようと考えると、どんなアイデアで始めれば良いのか、どれくらいお金を用意すべきなのかが分からず、最初の一歩で立ち止まってしまう人も多いはずです。この記事では、起業の仕方の具体的な方法や、アイデアの見つけ方と、日本で起業する際の資金や資本金の平均的な目安について、初めての方にも分かりやすいように解説していきます。
起業は身近なものである
起業という言葉を聞くと、オフィスを構え、従業員を雇い、大きな資本金を用意して会社をつくる姿を想像しがちであり、普段サラリーマンとして働いていると敷居が高いと考えられがちです。しかし、現在はひとり会社やフリーランスに近い形、あるいは会社員を続けながらのスモールビジネスなど、現代ではさまざまなスタイルで起業することができます。起業を考える上でまず大切なのは、自分の人生や働き方の選択肢の一つとして起業をとらえ、完璧な準備が整うまで待つのではなく、小さく試しながら学んでいく姿勢を持つことです。
大まかな起業の仕方
起業の仕方の流れとしては、細かく見ると多くのステップがありますが、大きく分けると、アイデアを見つけること、アイデアをビジネスとして成り立たせるための仕組みを考えること、必要な資金を準備すること、そして個人事業主か会社かといった形態を選んで開業手続きを行うことの四つです。最初から会社設立の登記を意識しすぎる必要はありません。むしろ、事業として成立するかどうかを小さく検証し、その手ごたえを確認してから法人化を検討する流れの方が、心理的な負担も資金面のリスクも抑えやすくなります。起業の仕方の例として、近年AI関係で起業して成功している落合陽一 何がすごいかを見ることでそのマインドの一端を見ることができます。
良いビジネスアイデアとは
起業に値する良いビジネスアイデアは、必ずしも革新的である必要はありません。重要なのは、誰のどんな不満や不便を解決するのかがはっきりしていること、自分が一定期間は情熱を持って取り組めそうなテーマであること、そしてお金を払ってくれる相手の姿が具体的に思い浮かぶことです。これらの点を加味すると、かっこよさや新しさだけを追いかけるのではなく、目の前の人の困りごとを解決できるかどうかに視点を置くと、現実的なアイデアに近づきます。
日常の不便から考察
起業のアイデアは、日常生活の中にたくさん隠れていることが多いです。面倒だと感じている家事、毎回検索して調べている情報、職場や学校でよく耳にする愚痴や悩みなどは、そのままビジネスのアイデアの種になる課題のリストです。通勤中や移動時間に、こうした不便さやモヤモヤをスマホのメモに書きためていくと、後から見返したときに共通点が見つかり、一つ一つの悩みをまとめて解決するサービスや商品が思いつきやすくなります。革新的で特別なひらめきではなく、モヤモヤを観察する習慣が、ビジネスになるアイデアの源泉になります。
仕事の経験を活かす
多くの人は、すでに今の仕事を通じてビジネスの種を持っています。社内で何度も繰り返している業務をテンプレート化して外部に提供したり、社内でトラブルになりがちなポイントを分かりやすくまとめてマニュアルや講座にしたりすれば、それだけで価値のあるサービスになり得える可能性があります。そのため自分にとって当たり前にできることほど、外の世界では有料でも利用したいと思ってもらえることが少なくありません。会社員としての経験を棚卸しすることから、ビジネスアイデアを探してみましょう。
これまでの苦労を活用
これまで苦労したことやコンプレックスも、起業の大きなヒントになります。ダイエットが続かなかった経験、転職活動に失敗した経験、人前で話すのが苦手だった経験などは、同じ悩みを持つ人の痛みを深く理解できる強みです。その悩みをどのように乗り越えたのか、あるいは今もどう工夫して向き合っているのかを言語化し、メソッドとしてまとめれば、教材やサポートサービスとして形にできます。自分の弱点を隠すのではなく、同じ悩みを持つ人を助けるためのストーリーに変える発想が、共感されるビジネスにつながります。
必要な資金の考え方
起業に必要な資金は、開業前の準備費用と、開業後に売上が安定するまでの運転資金を合わせて考えます。店舗を構えるか、自宅やオンラインで完結させるかによっても必要な金額は大きく変わりますが、一般的には、初期費用に加えて三か月から六か月程度の家賃や仕入れ、人件費などをカバーできるだけの額を見込んでおくと安心とされています。事業が順調に伸びるケースだけでなく、予定より売上が立つのが遅れた場合も想定し、少し余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
平均的な資本金の目安
日本では会社法上、資本金は1円からでも会社を設立できますが、実際の中小企業の資本金を統計で見ると、300万円から500万円未満の企業が最も多く、平均的な資本金額もおおよそ300万円前後とされています。もちろん、在庫や設備投資が少ないビジネスであれば、もっと少ない金額でもスタートできますし、逆に飲食店や製造業のように内装や機械に大きなコストがかかる業種では、平均より多めの資本金が必要になる場合もあります。あくまで全体の目安として参考にしつつ、自分の事業計画に合わせて必要額を試算することが大切です。
まとめ
起業の仕方には様々ありますが、日常の不便や自分の経験、コンプレックスさえもアイデアの種になり、工夫次第で小さな一歩からビジネスを形にしていくことができます。一方で、資金計画や資本金の設定は、勢いだけで決めるのではなく、平均的な目安を参考にしながら、自分の事業モデルに合わせて慎重に考える必要があります。今日からできることとして、身の回りのモヤモヤをメモし、自分が解決できそうな悩みを整理し、ざっくりとした資金の試算することが起業への第一歩といえるでしょう。
