ゴルフボールダイバーはどんな仕事?死亡事故が多い?必要な資格も調査

  • 2026年3月5日
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緑豊かなゴルフ場で、華麗なスイングとともに宙を舞う小さな白いボール。しかし、すべてのボールが綺麗な芝生の上に着地するわけではありません。ミスショットによって池に入り、そのボールの回収作業を担うのがゴルフボールダイバーです。この記事では、謎に包まれたゴルフボールダイバーのリアルな仕事内容と、その危険性、そしてプロフェッショナルになるための道のりについて徹底的に調査しました。

ゴルフボールダイバーとはどんな仕事?

ゴルフボールダイバー(別名:ロストボールダイバー)は、その名の通りゴルフ場の池に潜り、プレイヤーが打ち込んだボール(ロストボール)を回収する仕事です。彼らが回収したボールは、洗浄・選別された後、中古のロストボールとしてスポーツ用品店やインターネット等で再販されます。

年間で1000万円を稼ぐゴルフボールダイバーも中にはいらっしゃいますが、とても過酷と言われています。

泥水の中での「ブラインド作業」

青く澄んだ海でのスキューバダイビングを想像していると、現実とのギャップに驚かされます。ゴルフ場の池は、泥や藻、落ち葉などが堆積しており、水質は決して良くありません。潜った瞬間に泥が舞い上がり、視界は文字通り「ゼロ」になります。

ライトを照らしても何も見えない漆黒の水中を、ダイバーたちは這うように進み、完全な手探りでボールを拾い集めます。ウェットスーツに身を包み、数十キロの機材を背負いながら、泥の底に沈むボールを感覚だけを頼りに網袋に回収していくのです。

一日で数千個を回収する体力勝負

熟練のダイバーになると、一度の潜水で数百個、一日で数千個ものボールを回収します。回収したボールは水を含んだ泥とともに非常に重くなり、それを陸に引き上げるだけでも大変な重労働です。また、水温の低い冬場や、炎天下の夏場でも作業を行うため、並外れた体力と精神力が要求されます。

ゴルフ場の営業前や日没後、あるいは休場日を利用して作業を行うことが多く、華やかなゴルフ場の裏側で泥だらけになりながら行われる、まさに「縁の下の力持ち」的な仕事と言えます。

収入の仕組みと稼げる金額

ゴルフボールダイバーの収入は基本的に「完全歩合制」です。回収したボールの数やブランド、状態によって単価が変わり、それを買い取り業者に卸すかゴルフ場と利益を折半する形で収入を得ます。状態の良い人気ブランドのボールであれば1球数十円から百円程度になることもあり、一日で数万球を回収できれば十数万円を稼ぎ出すことも可能です。

アメリカなどでは広大なゴルフ場をいくつも掛け持ちし、年収が数千万円に達するダイバーも実際に存在します。

ゴルフボールダイバーは死亡事故が多い?

インターネットでゴルフボールダイバーと検索すると、「死亡」「事故」といったキーワードが目につきます。ボールを拾うだけでなぜ死の危険があるのでしょうか。結論から言うと、この仕事は水中作業のため、一定の危険性があるといわれており、過去に国内外で実際に死亡事故が発生していますが事故が多いとの発表はされていません。

事故の詳しい内容としては以下に紹介します。

視界ゼロによるパニックと溺死

前述の通り、池の中は視界が全くありません。もし水中で機材のトラブル(レギュレーターの故障やエア切れなど)が起きた場合、パニックに陥りやすくなります。視界が開けた海であれば水面の光を目指して浮上できますが、泥水の中では上下の感覚すら失う空間識失調に陥る危険性があります。

パニックによる溺水は、ダイバーにとって最も恐ろしい死因の一つです。

水中の障害物への拘束

池の底には、ボールだけでなく様々なものが沈んでいます。折れた木の枝や釣り糸、不法投棄された粗大ゴミ、古いワイヤーなどにダイビングのホースや装備が引っ掛かると、身動きが取れなくなります。視界がないため、何に引っ掛かっているのかを確認して解くことも困難です。

その為、そのまま空気が尽きてしまうという痛ましい事故が実際に起きています。

野生動物との遭遇

これは特にアメリカのフロリダ州などのゴルフ場で顕著ですが、池の中には凶暴な野生動物が生息していることがあります。代表的なのがアリゲーター(ワニ)や、猛毒を持つヘビです。ボールを探すために泥底を手探りしていると、ワニの体に触れてしまい、そのまま水中に引きずり込まれるという死亡事故が過去に何度も報道されています。

日本のゴルフ場でも巨大なカミツキガメやヘビなどに噛まれるリスクはゼロではありません。

有毒ガスと感染症

長年手入れされていない池の底には、分厚いヘドロが堆積しています。このヘドロの中には、硫化水素などの有毒ガスが溜まっていることがあります。また、農薬や肥料が流れ込んでいることもあり、水質は劣悪です。誤って水を飲んでしまったり、小さな傷口から細菌が入り込んだりすることで、深刻な感染症を引き起こす危険性も孕んでいます。

このように、ゴルフボールダイバーは常に死と隣り合わせの環境で作業を行っています。

ゴルフボールダイバーになるために必要な資格は?

これほど過酷で専門的な仕事に就くためには、どのような資格が必要なのでしょうか。日本国内において、労働として水中に潜る業務を行う場合、労働安全衛生法に基づき「潜水士」の国家資格が必須となります。これはスキューバダイビングの民間ライセンスとは異なり、国が定める安全基準や潜水医学の知識を問われる筆記試験に合格しなければなりません。

ゴルフボールダイバーも立派な潜水業務にあたるため、この資格を持たずに作業をして報酬を得ることは違法となります。

民間のダイビングライセンス(Cカード)

潜水士の国家試験には実技試験がありません。そのため、実際に水中に潜るスキルを証明するためには、PADIやNAUIといった民間団体が発行するダイビングライセンスの取得が不可欠です。最低でもオープンウォーターダイバー、できればアドバンスドレベル以上のスキルと経験が求められます。

視界ゼロの環境で作業を行うため、中性浮力の完璧なコントロールやトラブル時の緊急対処能力が身についていなければ命を落とすことになります。

まとめ

今回は、ゴルフ場の池で活躍するゴルフボールダイバーの仕事内容や危険性、必要な資格について解説しました。ゴルフを楽しむプレイヤーの影には、命がけで池を掃除し、ボールに新たな命を吹き込むダイバーたちの存在があります。もしゴルフ場で池を見かけた時は、その真っ暗な底で泥だらけになって働く彼らの姿を少しだけ想像してみてくださいね。