財形(財形貯蓄制度)は、会社員が給与天引きでコツコツ資産形成できる仕組みとなっており、深く考えなくても気づいたら資産を構成することができる方法です。株式投資やFXなどの投資などと比較すると大きく利益を出すのは難しいところはありますが、堅実なのも財形の特徴の一つであるでしょう。
この記事では「仕組み・税制優遇・メリデメ・やめどき・始め方」といった財形にかかわる基本的な情報について例を挙げながら紹介していきます。
財形(財形貯蓄)とは?
財形とは勤務先が提携する金融機関と従業員が契約し、毎月の給与から自動で天引きして貯める制度。いわば職場を足場にした積立仕組みで、任意加入の福利厚生に位置づけられます。手元に入る前に確実に積み立てられるため、意思の力に頼らず習慣化しやすいのが出発点です。
特に普段から浪費や出費が多い人の場合にはおすすめの資産形成方法の一つだといえます。
三つの種類
財形にはいろいろな種類がありますが、大きく分けて「一般財形」、「住宅財形」、「年金財形」の三種類があります。一般財形については貯蓄の使途は自由なのが特徴です。また住宅財形はマイホームの取得や住宅の増改築などが該当します。年金の場合は60歳以降に年金形式で受け取る前提の長期の積み立てが相当します。
これら財形の種類によってルールや税制などは異なりますが、これらの形式は複数かつ同時運用が可能なのが特徴で、ライフスタイルに合わせた貯蓄の設計を行うことが可能です。
税制優遇できる財形とは
財形を貯蓄で用いる最大の魅力の一つが、最大の魅力のひとつが、住宅・年金財形の利子等に対する非課税措置が挙げられます。両者の合算で元本550万円までの利子が非課税となることから非常にお得であるといえます。また課税口座の利息と比べて手取りの効率も上がるため、もし明確な貯蓄目的があるのであれば財形を用いるのは大いに有効です。
これらの税制優遇措置の細かい条件や対象となる年齢については事前に確認しておく必要があるでしょう。
財形が向いている人
貯蓄を構成していく上で財形が向いている人とそうではない人がいます。特に自分で貯蓄する意思を保てず、自動で給料から天引きされる方が良いという人にとって財形はとても向いています。またマイホームに向けた貯金や個人年金など将来設計が明確で目的をもって貯蓄したい場合も財形による貯蓄が向いています。
一方で、自分で金融商品を選びたい場合や、貯蓄を自由に出し入れしたい場合、自分で資産運用した場合にはNISAやiDeCoなどの他の資産形成方法を検討するのも良いでしょう。
誰が使えるのか?
財形に加入できるのは事業主に雇用される「勤労者」に該当する人になります。また雇用されている企業が財形の制度を導入していることが前提です。加えて住宅・年金財形は契約時の年齢が55歳未満などの条件があります。基本的には年金は60歳以降に年金形式で受取る設計がベースになります。多くの財形の積み立ての形式は給与からの天引きで、原則として継続的に積み立てる運用が基本です。これらの財形の条件については勤務先や取扱機関に問い合わせて確認することが必要となります。
財形のメリット
財形の一番大きなメリットには、給与天引きの自動化で「貯めグセ」がつくのが第一に挙げられます。また財形には貯蓄する目的が決まっているものも多く、貯蓄の使い道も決まっているのが良い点であるといえます。さらに住宅財形や年金財形の場合には税制上の優遇もあるのでその点の恩恵を受けられる点もメリットです。
また財形の残額と利用期間によっては財形持家融資を受けられることもあるので、大きなライフイベントの際の助けにもなります。
財形をやめたほういい場合
財形は一見理想的な貯蓄方法にも見えますが、財形にもデメリットは存在し、貯蓄のスタイルによってはやめたほうがいい場合もあります。財形とは定期的に長期間の積み立てを行う方法を指すことから、途中での解約や目的外での貯蓄の引き出しには制約があるため、資金の流動性が低下する点が大きなデメリットです。
また退職や転職の際には手続きや移管も必要になるため、条件次第では税制優遇を失う可能性もあります。なお短期資金や緊急の予備資金には不向きなので、長期で一つの会社に勤めない場合にはあまり向いていないといえるでしょう。
財形の判断基準
財形の流動性の低下は手元の資金が少ない場合には致命的になる場合もあるため、当面必要な生活資金を確保しておくことも重要です。また住宅や老後の税制優遇と自身の未来設計があっているかといった点も確認しておく必要があります。また職場で提供されている制度と他の民間の制度を比較してどの制度が自身にとって合理的なのかという点も調べると良いでしょう。
いずれにせよ自身のライフプランに一致するかがカギになります。
住宅財形と財形持家融資
住宅財形とはマイホーム取得・増改築向けの長期積立のことを指し、所定の要件を満たせば、財形残高の10倍(上限4,000万円)までの「財形持家融資」を利用可能です。金利や条件は時期で変わるため、最新の案内と勤務先ルールを必ず確認する必要があります。マイホーム購入という大きな支出に制度の力を借りることによって、より効果的な資金運用を行うことができます。
財形の現状
財形の契約件数や残高は近年やや減少傾向との統計もありますが、目的特化の積立ニーズはいまだに根強いのが実情です。始めるなら勤務先の人事・総務窓口→取扱金融機関へ相談するのが良いでしょう。なお財形の見直し・解約時は税優遇の取扱いに注意し、財形の移換や代替制度も検討が必要です。
財形の貯蓄を使う判断は自分の計画と制度の適合度で行いましょう。
まとめ
財形とは長期積み立てて貯蓄を築き上げる制度の一つです。給料天引きによって自動で貯蓄ができるという簡略さと税制上の優遇など、利用することで効率的に資金を貯めることができることから、特にサラリーマンで転職や退職をあまりしないライフスタイルの人にはおすすめの方法の一つです。
一方でNISAなどの自分で資産運用する方法もあるので、投資に自信のある人はこちらの制度を利用してチャレンジするのも一つの手になり、自身のスタイルに合わせて財形や他の方法を選択するようにしましょう。