昨年末にかけて、Twitterで「FIRE卒業」がトレンド入りしました。「FIREやめて、仕事に戻る」「FIREを卒業して、働き始めた」などのツイートに対して、否定的なコメントや理解を示すコメントが溢れかえり、大いに盛り上がりをみせていたようです。
この記事では、「FIRE」とは一体何かということから「FIRE卒業」がトレンド入りするに至った理由を探ってみようと思います。
FIREとは?
「FIRE」とは、徹底した節約生活でお金を貯め、貯めたお金の運用益で生活費をまかない、働かなくても生活ができるライフスタイルのことです。
「Financial Independence、Retire Early」の頭文字をとって「FIRE」と呼ばれています。要するに、「経済的自立」「早期退職」ということですね。
著書『FIRE最強の早期リタイア術』(クリスティーン・シェン他2名)が火付け役となり、2022年は世界中がこの「FIRE」に注目しました。
FIREに何が必要?
「FIRE」には、次の3つが必要になります。
- 不労所得を生む資産を持っていること
- 不労所得が生活費をまかなえること
- 現在、不労所得を持っていない場合、資産を貯める手段と期間があること
例えば、月の生活費が20万円、毎月の資産所得が20万円以上であれば成立します。不労所得は株の配当金、家賃収入、株の運用益などです。
現在、不労所得を持っていない場合、資産を貯める手段と時間があれば、「FIRE」できることになります。手段とは、投資をしながら増やしていくことであり、期間とは数年から数十年が必要になる場合もあります。いずれにしても、ある程度の資産と運用が必要です。
節約生活から始める資産形成
株の購入にしても賃貸家屋の購入にしても最初に資金がないと実現できませんよね。資産所得を手に入れるためには、徹底した節約生活が必要になります。
「節約生活」と聞くと、我慢ばかりの生活を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、必要なものにはお金を使って、必要のないものには使わないことを徹底するだけで節約はできます。
「4%ルール」から逆算して考える資産維持
「4%ルール」とは、アメリカのトリニティ大学のグループが発表した資産運用に関する研究で導かれた数字です。アメリカの一般的な株価の成長率(7%)から物価上昇率(3%)を差し引いた計算になります。
簡単に説明すると、毎年の資産運用額の4%未満を生活費とすれば、30年以上が過ぎても資産が維持されるという内容です。つまり投資の利益の範囲内で生活ができれば、資産が減ることなく生活維持ができるというわけです。
FIRE卒業がトレンド入りした理由は?
「FIRE卒業」の理由を要約すると、次の3つが挙げられます。
- 物価上昇(インフレ)
- 株安
- 退屈
新型コロナやロシアのウクライナ侵攻などをきっかけとして、急激なインフレでお金の価値が減って物価が上昇しました。
さらに金融相場の下落により、「FIRE」していた人たちの生活が立ち行かなくなってきました。株価の下落はかなり痛手だったのではないでしょうか。
3つ目の理由である「退屈」は、予想外だったかも知れませんね。自由に憧れて早期退職したにもかかわらず、時間を持て余すことになろうとは・・・。「自由=何もしない生活=退屈」ということで、FIRE卒業するという人も多かったようです。
まとめ
「不労所得で生活費をまかなうことで、やりたくない仕事から解放される」「やりたいことをやれる環境で生活できる」このような考え方は、人間にとって本質的な欲求なのかもしれません。多くの人が「FIRE」に憧れるのもわかるような気がします
しかし、まさかの物価上昇と株価下落によって、「FIRE」をした人たちは不労所得では生活費を賄えなくなりました。どんなに準備をしても、未来は不確実なものです。
また、ブームに乗って「FIRE」した人の中には、自らすすんで卒業するケースも多くみられるようです。自由に憧れ、毎日を楽しく過ごせるはずだったと思いますし、実際に最初の数週間は旅行に行ったり、のんびり読書したりして楽しさを感じていたはず。それでも、ある程度好きなことをしてしまうと暇を持て余してしまうようですね。
結論として、「経済的自由を手に入れて、やりたい事を仕事にする」、このような理想的な生き方が出来れば1番かも知れません。